――人は……
分かり合えると信じたいです。
クロスベル自治州、レミフェリア公国・公都アーデントそしてモンレイン市を混乱の渦に巻き込んだ「市民失踪事件」は試験班と彼らに協力する者たちにより無事解決を迎えた。
だが、《戦争卿》の企てる計画は着実に世界の闇に根を張り、終局へのカウントダウンが動き出す。
ナハト・ヴァイスは自らの過去を打ち明ける。
自身が猟兵出身であること。
アイリとは仲間だったこと。
その仲間たちを見捨てて生き残ったこと――
彼の告白に言葉を失うリーヴ。
疑念が確信に変わったロナード。
彼を信じたいと想うクロエ。
それぞれが試験班としての在り方を問う時、一つの決意が彼らを突き動かす。
そして――
クロスベルでは大火が上がる……
《戦争卿》の目を欺き、その情報を得る為に解散という決断を下した試験班。
放たれた弾丸は全ての“真実”へ導く号砲となるのか。
壊れゆく心と体は燃え盛る狂気の中で灰塵と化してしまうのか。
「私は、私の道を行く……。
君たちにも邪魔はさせないよ。」
見えざる敵との戦いは、まだ序章にすぎない――
巧妙に仕掛けられた罠により、森に棲む魔獣たちは咆哮を上げてナハトとロナードに牙を剥く。
迫り来る野生の本能から2人を救ったのは、試験班を離れていた筈のリーヴだった。
だが、ようやくの再会に安堵する間もなく、突如として巨大魔獣が出現。
一刻も早く侵攻を食い止めなければ、公都アーデントは――
残された時間はあと僅か。
アーデントの存亡をかけた「巨大魔獣掃討作戦」が始まる。
試験班は多くの協力を得て巨大魔獣の侵攻を食い止めることに成功した。
被害を最小限に抑えた彼らに賞賛の声が上がる中、飛行船内のレーダーが大量の熱源を感知する。
そこは極寒の海に浮かぶ小さな火山島――
凍てつく大地、世界から切り離され人知れず開拓を続ける民たちは、閉ざされた扉の奥で来訪者を待っている。
《戦争卿》の拠点捜索のため、絶海の孤島に降り立った試験班。
“エイヤ”と呼ばれるこの島で暮らしていたのは外界を知らぬ民たちだった。
――長の口から語られる歴史
――少女・ロマを苛む掟の秘密
――“エクランド”の名を継ぐノア
明らかになっていく“真実”がやがて新たな“希望”を生む。
エイヤの民に別れを告げ、試験班は公都アーデントへ帰還する。
彼らと彼らの島の伝統を護る為に、一刻も早く《戦争卿》の正体を暴かなければならない。
“毒蛇”は姿を隠し、闇の中から覗いている。
研ぎ澄まされた毒牙が獲物を待ち望んでいる。
空に潜む脅威はその輪郭を見せつけ、
人々の絶望を欲していた――